10月から11月にかけて保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」や「地震保険料控除証明書」のハガキ。
今月はこの証明書についてのお話です。
そもそも生命(地震)保険料控除とは、所得控除(所得税・住民税の対象となる所得金額を減らすこと)の一種で、
支払った保険料の一部(もしくは全額)を総所得金額から差し引くことができる制度です。
結果的に課税総所得が減ることになり、納付税額が減ります。
この制度を利用するためにこの証明書が必要なのです。
未提出・申告漏れに注意‼
この証明書は、会社員の方は会社へ提出、個人の方は確定申告に使用していただきます。
万が一提出・申告漏れをしてしまうと、不必要な納税を行うことになります。
会社員の方については、年末調整の際に提出しなければならない書類が他にもあります。
どの書類も重要であり未提出・申告漏れがあると、
⚠ 基礎控除が受けられない。(所得税で約48万円・住民税で約43万円)
※税額にすると、所得税(5%)で約2.4万円・住民税(10%)で約4.3万円を余分に支払うことになります。
⚠ 年末調整自体が受けられない。
⚠ 税率が上がってしまう。(乙欄が適用される。)
などの不都合が発生してしまいます。
年末調整は会社員の方において書類を正しく提出するのみの比較的簡単な作業です。
万が一ミスに気が付いても確定申告や還付金制度を利用すれば取り戻すことはできますが、
無駄な手間や労力となってしまうことは間違いありません。
確実に書類を用意し、期限内に提出をしましょう。
控除額について
生命保険料控除では、加入時期(新・旧制度)により以下の金額が控除可能です。
□ 所得税が最大12万円(一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料) もしくは 最大10万円(一般生命保険料・個人年金保険料)
□ 住民税が最大7万円
さらに地震保険料控除では、所得税で最大5万円、住民税で最大2.5万円の所得控除が受けられます。
保険の種類については以下の通りです。
□ 一般生命保険料(死亡保険)⇒ 人の死亡に係わる保険
□ 介護医療保険料(医療保険・がん保険・介護保険等)⇒ 医療行為・介護行為を受けたときに係わる保険
□ 個人年金保険料 ⇒ 保険料という名目でお金を積立て、決まった年齢に達したとき以降に保険金として受け取る保険
生命保険料控除・地震保険料控除の例(新制度のみ)
以下の金額が返還されます。
一般生命保険料 8万円
介護医療保険料 8万円
個人年金保険料 8万円
地震保険料 5万円 を負担している場合
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―――――所得税―――――
所得控除額は計17万円(最大限)
◇内訳
一般生命保険料控除4万円
介護医療保険料控除4万円
個人年金保険料控除4万円
地震保険料控除5万円
所得税率(5%)で8500円の還付
―――――住民税―――――
所得控除額は計9.5万円(最大限)
◇内訳
一般生命保険料控除2.8万円
一般生命保険料控除2.8万円
一般生命保険料控除2.8万円
※ただし上記3つで計7万円まで
地震保険料控除2.5万円
住民税率(10%)で9500円の還付
決して節約できる金額は大きくありませんが、塵も積もれば山となるでしょう。
また、納税義務者1名に対するこれらの控除額には上限があります。
家庭内に納税義務者が複数いる場合、工夫次第では最大限の節税も可能になります。
おわりに
生命保険や個人年金は、保険金の受取人や受け取り方によって納税額が大きく変わることにも注意です。
保険金を受取る場合は主に、所得税・相続税・贈与税のいずれかが課税されます。
どの税が課せられるかは、契約者・被保険者(保険の対象になる方)・保険金受取人の関係によって異なり、
一般的に最も税制的に優遇されるのは相続税です。
現在ご加入の保険は受取の際にどの税金が発生するかを考慮することで、無駄なく保険金を受け取る事が可能になります。
せっかく加入した保険を効果的に使うためには、無駄なく保険料を支払い、無駄なく保険金を受け取れるようにしておくことが不可欠です。
この機会に今一度自らの契約を見直してみましょう。
弊社でもご加入内容の確認や見直しのお手伝いを受け付けております。
ご加入の保険についてご不明な点や疑問点があれば、お気軽にお申し付けください。