今年2月に新たな飲酒ガイドラインが制定され、メディアでも大きく取り上げられました。一部の人は、「酒は百薬の長」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、このガイドラインによると、その見方は必ずしも正しくないかもしれません。
特に、飲酒量と健康リスクの関連性について、高血圧や食道がん(男性)、出血性脳卒中(女性)などの疾患の発症リスクは、飲酒量が少なくても増加すると明記されています。
新型コロナの5類移行後に初めて迎える年度末ということで久しぶりに送別会・謝恩会などを開催する方も多いこの時期ではないでしょうか。お酒を楽しむ機会が増えがちなタイミングだからこそお酒と健康の関係について少し考えてみませんか?
<参考>
・飲酒ガイドライン作成検討会|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
・(別添) 飲酒ガイドライン_0215最終版 (mhlw.go.jp)
アルコールがさまざまな生活習慣病と関連していることはすでに指摘されていますが、その中でも特に注目すべきは、日本人の死因第一位であるがんです。
私たちの体では、毎日何千億もの細胞が新しく生まれ変わります。その際、必然的に不良品となる細胞がいくつか生じます。これががんの始まりとなります。通常、この不良品は免疫細胞によって排除されますが、何らかの要因で免疫機能をかいくぐったものが腫瘍へ成長していきます。
また、加齢によっても不良品細胞が生じやすくなり、さらに老化により免疫細胞の働きが低下するため、年齢を重ねるほどがんになりやすくなります。
さらに喫煙や飲酒、食生活の乱れなどの生活習慣やウイルス感染は、遺伝子に傷を付け、不良品細胞を生み出す要因となります。
したがって、がんを完全に防ぐことは不可能ですが、生活習慣を改善することで発症リスクを低減することは可能です!
残念ながら、排除できなかったがん細胞は、10~20年の時間を経て1㎝大に成長します。その後は1~2年で2㎝大に成長し、だんだん内臓組織を侵食していきます。現在のがん検診では1㎝未満のものは発見できないため、毎年の定期検診を受けることを強く推奨します。
早期発見ができれば、生存率も高まります。
このことを心に留めて、健康管理に努めましょう。
<参考>
・がんという病気について:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)
・がんの発生要因:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)